新車の購入時、誰もが感じるものに新車特有のにおいがあります。このにおいは車内に使われる素材や化学物質から発生するもので、人体にはほぼ無害とされています。しかし中にはにおいで気分が悪くなったり、体調を崩したりする人もいます。本記事では、新車のにおいの原因をくわしく解説し、その対策についてもご紹介します。
新車のにおいの原因は?
新車のにおいは、多くの人にとって納車直後の喜びを象徴するものです。
この独特なにおいは揮発性有機化合物(VOC)が原因となっています。揮発性有機化合物(VOC)は、常温で容易に蒸発し、大気中に気体として存在する有機化合物の総称です。英語ではVolatile Organic Compoundsと呼ばれ、略してVOCと表記されます。
大気中で窒素酸化物(NOx)やオゾンと反応すると、目や喉の痛みを引き起こす光化学オキシダントの原因にもなります。このVOCは車の内装に使用されており、接着剤や樹脂塗装、防音材、カーペットなど、さまざまな場所で多用されています。
車に使用されているVOCの濃度は通常低いため、人体に大きな影響を与えることはほとんどありません。しかし一部の人にとっては、このにおいが体調不良の原因となることもあります。また、車のシートクッション材に使われる軟質ポリウレタンフォームもにおいの原因となることがあります。
ポリウレタン自体は無臭ですが、製造過程で添加される触媒や難燃剤がにおいを発することがあります。とくに第3級アミンがにおいの原因となりやすく、製造工程で完全に揮発させきれなかった場合に、製品からにおいが発生します。
新車特有のにおいは、これらの材料から揮発するVOCが混ざり合ったものです。車の内装に使用されるVOCは、揮発性が高いため時間とともににおいが薄れていく傾向がありますが、新車の納車直後はとくに強く感じられるでしょう。
新車のにおいで気分が悪くなる人もいる
新車のにおいを嗅ぐことで気分が悪くなる人がいます。
とくに車酔いしやすい人にとって、新車のにおいは酔いやすさを増す要因となることがあります。2022年5月に行われたハル・インダストリと日本トレンドリサーチによる共同調査によると、車のにおいが原因で車酔いを経験したことがある人は6割以上にのぼることが明らかになりました。
実際、新車のにおいに含まれるVOCなどの成分によってシックハウス症候群のような症状が出ることも有名です。これはシックカー症候群と呼ばれ、頭痛や喉の痛み、発疹やくしゃみなどのアレルギーに似た症状が現れることがあります。
神経系にも悪影響を及ぼす可能性があるため、運転に支障が出る前に早めの対策を取ることが重要です。各自動車メーカーは、VOCを含まない材料を使用するなど、においの発生を抑えるための対策を講じていますが、完全に排除することは難しいのが現状です。
新車のにおいを消す方法・対策
新車を購入したばかりの頃は、その独特なにおいが気になることもあります。
時間が経てば弱まりますが、早めに解消したい場合は以下の対策を試してみましょう。
車内を換気する
もし新車のにおいで気分や体調が悪くなった場合は、車内の換気が重要です。
窓を開けたり、エアコンを内気循環から外気導入に切り替えたりして新鮮な空気を取り込むことが推奨されます。密閉された車内では、におい物質が溜まりやすくなるため、換気を行うと体調不良を防ぐことができます。
まずは車内をしっかり換気しましょう。窓やドアを全開にして風を入れることで、シートや内装にこもったにおいを外へ逃がすことができます。天気のよい日に数回繰り返すと効果的です。風が弱いと感じる場合は、サーキュレーターを使用して風を送るとよいでしょう。
換気中は防犯に注意し、バッテリー上がり防止のためにルームランプをオフにすることも忘れないようにしましょう。
車内を拭く
内装表面に付着しているVOCを取り除くために、水拭きを行います。
水拭きに使用するタオルはしっかりと絞って、水分が残らないように注意します。タオルには目に見えない有害物質が吸着されるため、タオルを頻繁に洗いながらの使用が大切です。車内の水拭きの後は換気を行い、しっかりと乾かしましょう。
消臭剤を使用する
換気や水拭きでもにおいが残る場合は、消臭剤の使用を検討してみましょう。
においを打ち消すための芳香剤もありますが、反対ににおいが混ざって不快になることがあるため、無香料の方が安心です。とくに消臭用の炭なら無臭なので、芳香剤のようににおいで気分が悪くなる心配もありません。炭はにおい成分を吸着するため、車内のにおいを軽減するのに役立ちます。
また、スプレータイプの消臭剤なら、天井やシートなど水拭きしにくい箇所にも使用できます。繰り返し使うことで、においを早く取り除くことが可能です。もちろん、置き型の消臭剤も効果的です。ただし車の床や荷台に置く際は消臭剤の転倒に注意しましょう。
光触媒スプレーを使う
光触媒スプレーは、車内に噴射し、光を当てることで有害物質の分解や消臭効果を発揮します。
手間がかからず、スプレーして放置するだけで効果が期待できます。スプレー自体のにおいもなく、効果も長続きするため、コストパフォーマンスにも優れています。
まとめ
新車のにおいは、車内に使用されるさまざまな材料から揮発するVOCがおもな原因です。これらの化合物は時間とともに揮発し、においも薄れていきますが、一部の材料や製造工程で使われる添加物がにおいを発することがあります。自動車メーカーは、VOCを含まない材料の使用を進めており、以前よりも新車のにおいは軽減されつつありますが、完全に排除することは難しいため、購入後は適切な換気や、水拭き、消臭剤や光触媒スプレーの使用などの対策を行うことが重要です。