EV車（電気自動車）が車市場に登場してから、10年以上が経過しました。現在ではそのシェアを伸ばし、新車購入時の選択肢としても有力なものになっています。そこで本記事では、EV車に注目が集まる理由や、EV車特有のメリット・デメリットを深掘りして解説します。新車購入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
EV車に注目が集まる背景
近年、地球温暖化対策の一環として、走行時にCO2を排出しないEV車（電気自動車）の普及が社会的に大きな注目を集めています。とくに日本では、2020年末に経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を発表し、その中で2035年までに乗用車の新車販売をすべて電動車とする目標を掲げました。この戦略に基づき、EVの普及促進のための充電インフラ整備や購入支援策が国を挙げて推進されています。
こうした政策的後押しのもと、2030年には国内の全自動車の20〜30％がEVになるとの予測もあり、自動車メーカー各社も技術開発や車種のラインアップ拡充に力を入れています。このような環境下で、走行時にCO2を排出しないEVの活用は、企業の脱炭素化を推進する重要な施策の一つとして位置付けられているのです。EV化によって社用車の環境負荷を低減し、持続可能な経営を目指す動きが広がっています。これにより、環境対策の強化とともに、社会的責任を果たす企業イメージの向上にもつながることが期待されています。
EV車のメリット
近年、環境問題への関心が高まる中で、電気自動車（EV）は多くのメリットを持つ次世代の移動手段として注目されています。
環境負荷が少ない
まず、EVは走行時にCO2や排気ガスを一切排出しないため、環境負荷が極めて低いのが大きな特徴です。従来のガソリン車が排出する炭化水素や窒素酸化物などの有害物質を削減できるため、光化学スモッグの原因の軽減にもつながり、地球環境の改善に貢献すると期待されています。
エネルギー効率が高い
さらに、EVはエネルギー効率が非常に高い点も注目されています。ガソリン車が燃料の約20％しか動力に変換できないのに対し、EVは約90％の電気エネルギーを動力に変えることが可能です。この高効率に加え、電気料金がガソリン代に比べて安価であるため、長期的なランニングコストを大幅に抑えられるメリットがあります。
非常時の電源として活用可能
また、EVは大容量バッテリーを搭載していることから、災害時の非常電源としての活用も期待されています。この「走る蓄電池」としての役割は、災害対策や地域のBCP（事業継続計画）強化に寄与する重要な機能です。
安全性が高い
安全面でもEVは高度な対策が講じられています。リチウムイオンバッテリーは発火リスクが指摘されるものの、難燃性素材の使用や異常検知センサーの導入、国際安全基準のクリアなど、多層的な安全対策によって安全性が確保されています。
走行の力強さと静粛性に優れる
走行性能においても、EVはモーターが発進時から最大トルクを発揮するため、力強くスムーズな加速を実現しています。さらにエンジン音や振動がほとんどないため、静粛性に優れており、車内の快適さや夜間走行時の騒音問題の軽減にもつながっています。
EV車のデメリット
電気自動車（EV）は環境面や走行性能など多くの利点がある一方で、普及を妨げるいくつかの課題も存在しています。
車両価格が高い
まず、車両価格が高い点が大きなデメリットとして挙げられます。EVはエンジンや燃料タンクが不要なため本来はコスト削減が可能な構造ですが、搭載されるリチウムイオンバッテリーの価格が高額であることから、結果的に車両価格がガソリン車よりも高くなりがちです。
充電設備が必須
EV車に乗る場合、自宅や事務所などで日常的に充電するには専用の充電設備を設置する必要があり、その設置費用や工事費用がかかります。外出先でも充電を行う場合には、急速充電スタンドの場所を事前に把握しておく必要があり、これが利用者の負担となっています。充電インフラの整備はまだ不十分なため、今後の拡充が期待されている状況です。
航続可能距離が短い
さらに、EVの航続可能距離は一般的に200〜600km程度であり、ガソリン車の満タン時の航続距離（約500〜1500km）に比べて短いこともデメリットです。長距離運転を頻繁に行うユーザーにとっては、途中で充電をしなければならないため利便性に不安が残ります。
充電時間が長い
加えて、充電時間が長い点もEVの課題です。普通充電では満充電まで7〜14時間を要し、急速充電でも30分から1時間近くかかることが多いです。これに対してガソリン車の給油は数分で完了するため、充電にかかる時間の長さは日常利用の面で不便に感じられる部分となっています。さらに急速充電設備は限られた場所にしか設置されておらず、ガソリンスタンドのように広く公共エリアに整備されていない点も利用者にとって不便です。
まとめ
EV車は環境負荷の低減や高いエネルギー効率、非常時の電源利用など多くのメリットを持ち、未来の移動手段として期待されています。発進時から力強い加速と静粛性に優れ、安全面でも最新技術でしっかり対策が施されているのです。一方で、車両価格の高さや充電設備の整備不足、航続距離の短さや充電時間の長さといった課題も存在します。これらのデメリットを克服するため、技術革新とインフラ整備が急務です。EV車の新車の購入を検討する際は、メリットとデメリットをしっかり理解し、自分のライフスタイルに合った選択をすることが重要です。
